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「男はつらいよ」で巨匠の仲間入りをした山田洋次監督が、あのジャニーズ事務所のタレントであり、護送船団方式で護られた"スター"をどう扱うのかが注目された作品だ。
映画『武士の一分』での出来事だった。この映画を撮ったのは『男はつらいよ』を撮り続けた山田洋次監督である。その山田監督からのお声がかかったキムタクこと木村拓哉は映画初出演でもあった。その稿はさらに、「今、テレビ局に山田監督のような真似をできるだろうか」と書かれている。巨匠・山田洋次と、替えがいくらでもいるテレビ局のスタッフでは比べるべきものではないかもしれないが、テレビに「長いものには巻かれよ」という発想があることは間違いない。
山田監督とキムタク。山田監督は日本を代表する監督だとすれば、キムタクはさながら日本を代表するスーパースターということになろう。かつて映画『影武者』撮影では、黒薄明監督と日本一のB級スターの勝新太郎がぶつかったことがある。お互いに譲らない気骨のある監督と俳優だけに、案の上、激突して勝新が映画を降りることになった。
果たして山田監督とキムタクはぶつかったのか...。実はぶつかっていた。まずキムタクのスケジュールのために山形ロケをできなかったりするなど山田監督は譲りに譲った。俳優のスケジュールに合わせてスケジュールを調整することなど、かつて山田監督には全くなかった。だが監督はキムタクのスケジュールに合わせたのだ。
そしてキムタクは、現場では、山田監督にアイデアを出した。例えば剣の先にトンボが留まるシーンなど次々とアイデアを出し、山田監督も撮影に応じた。山田監督は柔軟である。人と喧嘩をしたという話を聞いたことがない。キムタクのアイデアを全て取り入れて撮影をした。
映画は完成した。だが、キムタクのアイデアのシーンは全く使われていない。山田監督はキムタクのアイデアを一切無視した。この映画は、山田監督の作品でありキムタクの作品ではない。キムタクは俳優という素材にしかすぎないのだ。
キムタクは文句ひとつ言えなかった。そして山田監督も黙して語らずだが、今後キムタクを使うことはない、というのが映画関係者の一致した見方でもある。山田監督の完勝だった。
ジャニーズ事務所について関心のある方なら、『芸能スキャンダルという快楽』(鹿砦社)は一読の価値がある。なお、木村のテレビや映画出演を巡るトラブルや裏話などは、『ジャニーズスキャンダル調書』(鹿砦社)に詳しい。
◆リンク記事
ジャニーズタレントたちのトラブルは何が原因?
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